ADC12材 700円/kg、AC材1,000円/kg時代?―御社はまだ“アルミを捨て続けますか“
アルミ価格の高騰が続いているようです.中国の日系企業から聞いた話ですが、ADC12材は今月(2026年6月現在)からついに700円/kgを超えたそうです.AC材についても1,000円/kgを超えてくるかも知れないと言われています.
ADC12の中国相場が RMB 25.0 /kgで、為替レートがRMB 23.0 /JPYだとしたら、JPY 575/kg.増値税13%を乗せるとJPY 650 /kg.現地輸送費やマージンが乗るとJPY 700 /kgになるんでしょうか.日本ではもう少し安いのかも知れません.中国で高いのは、スクラップの輸入規制があり海外からの安いアルミスクラップが入りにくくなっているからという話もあります.
* RMB=人民元
止まってはいないが止まったら困る
円安の影響もありますし、日本ではどうなんでしょう
さて円安以外の原因の一つはホルムズ海峡の物流リスクです.日本ではUAE産が3〜4割を占めていると聞きます.
2026年の春頃に日米欧の自動車メーカーがアルミ在庫の確保を急ぎ始めたという報道がありました.
・在庫積み増し
・代替調達先の探索
冒頭の700円/kg超えの企業さんについて、現地調達しているならホルムズ海峡は関係ないと思いましたが、価格は国際相場(LME)やスクラップ相場に連動するからかもしれません.
これまで「不良低減」や「品質向上」をテーマに、溶湯処理の重要性について発信してきました.しかし、この価格帯になってくると、会社としては対策を考えないといけなさそうです.
購買部門では他の調達先を探すことにはすでに着手されていることと思います.しかし生産部門でもできることはあります、
それは、
『今あるアルミを、いかに無駄なく使い切るか』ということです.
・不良を減らす
・熔解歩留りを上げる
・灰絞りをする
不良を減らす
→ご相談ください
熔解歩留を上げる
→ご相談ください
先日、石川県のあるダイカスト工場を訪問した際、ドロス箱の中を見せていただく機会がありました.そこに入っていたものを見て、少し驚きました.「ほとんどアルミ、というかアルミそのもの…….」
「アルミ分が多いドロスだから、業者が高く買い取ってくれるんですよ」(ドロスじゃないです...)
保持炉も開けて見せてもらいました.
酸化物が溜まってバーナーやヒーターの熱が伝わらなくなったところが重いおかゆ状になってボテっと塊になって盛り上がっていました.それをドロスとして除去したようです.フラックスを入れても混ぜれそうにないから、除去してから投入してそうです
確かに、高めには買い取ってくれているとは思います.アルミですからね
しかし、本当にそれで良いんでしょうか.
会社にアピールできる成果を上げる方法があります
例えば、1000円/kgで購入したインゴットを考えてみてください.
ドロスとして売却する際の価格はその半額程度かもしれません.仮に600円/kg(買取が高いAC4CH、アルミホイールの場合)で買い取ってもらえたとしても、1000円で買ったアルミを600円で手放している訳です.商社や二次合金メーカーのマージンや製造コスト、輸送コストを乗せて再販するわけで、得はしてないです.
参考にした情報
https://www.ohata.org/kakaku.html
https://www.ohata.org/kakaku_hyou.html
「高く買い取ってもらえた」と感じていても、実際には捨てているように当社には見えます
リサイクル業者が利益を出せているということは、そのドロスの中には、まだ自社で回収できる価値が残っているということでもあります.
全てではないですが、保持炉を開けたらお粥状の重たい層があることが多いです.これを捨ててるんです.溶湯表面に浮上したものは時間が経つにつれてレイヤー状に積み重なり、徐々に硬くなっていきます.
こうなると、
・崩しにくい
・アルミと酸化物の分離が難しい
・メタル分を大量に巻き込む
・回収可能なアルミまで一緒に捨ててしまう
という状態になります.
フラックス処理は2〜3日に1回にして、後でまとめて処理した方が楽だろう.そう思ってしまいがちですが、実際にはその逆です.厚く積み上がる前に、こまめにフラックス処理を行ってください.これだけで、浮上物は柔らかいうちに処理でき、ドロス中に捨ててしまうアルミ量を減らすことができます.
ドロス?を放置すると、炉まで傷める
問題は、アルミロスだけではありません.保持炉表層に厚い融けていない層が形成すると、熱の伝わり方にも影響します.十分に溶けない部分が生じるため、バーナーの火力を上げたくなります.しかし、その結果として局所的な過熱が発生し、いわゆる「お化け」と呼ばれる付着物の成長を招くことがあります.
これらは、
・炉材の損耗
・熱効率の低下
・メンテナンス頻度の増加
・炉の寿命低下
にもつながります.
つまり、ドロス処理を後回しにすることは、アルミを捨てるだけでなく、炉そのものの寿命を縮めている可能性があります.
たった1%でも、大きなお金になる
「そんなに変わるものだろうか」そう思われるかもしれません.
しかし、年間1000トンのアルミを溶解する工場で、ドロス中に捨てる金属量を1%改善できたとすると、
・ADC12(700円/kg)なら約700万円/年
・AC材(1000円/kg)なら約1000万円/年
もの差になります.しかも、大規模な設備投資ではありません.フラックスの選定を見直し、処理のタイミングを工夫し、現場の運用を少し変えるだけです.やってみると、1%の改善だけでは終わりません.先ほどの例よりもましな処理をしている炉で、当社のフラックスに切り替えた前後で重量比で30%改善した例があります.「うちはそこまでひどくないよ」と思って読んでいる方も、まだ改善できます
当社の技術指導では100%リターン材でも鋳造できるレベルの溶湯を作れます(メーカーが指定するリターン材比率の上限はあると思いますが、)
鋳造歩留り(製品歩留り)も当社の技術指導で改善できます.不適合率、不良率を下げれます
品質改善は利益改善
これまで鋳造現場では、「不良を減らす」「品質を上げる」という視点で溶湯処理が語られてきました.もちろん、それは今でも重要です.
しかし、インゴットが700円/kg、1000円/kgという時代を迎えそうな今、
『いかに捨てないか』
という視点も同じくらい重要になってきています.品質改善のための技術が、そのまま利益改善の技術になる.そんな提案を当社はできます
あなたの工場のドロス箱の中には、まだ“利益”が眠っています.ドロス箱は埋蔵金、宝箱です
6月17日にトランプ大統領とイランの暫定合意内容
・60日間の停戦
・30日以内のホルムズ海峡の通航能力を完全回復
・60日間に限って通航料が無償となるよう最大の努力を持って準備する
(イラン側が通航料やサービス料などを徴収する余地が残された形)
ホルムズ海峡は開き始めたと思うかもしれませんが、
続きがあります.
・今後60日以内に最終的な合意に至らなければ再び爆撃(トランプ大統領)
・イラン側が協議の引き伸ばしを図るようなら交渉を離脱する(米政府高官)
安心できますか.備えあれば憂なしです…
捨てない、安く手放さない、作り直さない
危機は去ったかも?知れませんが、一度上がった価格はすぐには下がらないですし、トランプ大統領や米政府高官もこの調子です.原因になったイスラエルはまだやる気ですし、どうなるんでしょう.
確かなのは、捨てない、安く手放さない、作り直さないことが競争力の源泉にもなり給与やボーナスの源泉になるということ、です
一度社内で検討、上長に提案などなさってみてください.
当社のコンサルタント費用はすぐに元が取れ、利益に変わります.
ご相談お待ちしております
購買部門のお手伝いもできます
多くの現場では、万が一に備えてインド、インドネシア、オーストラリアなどへの代替調達の検討が始まっていることでしょう.しかし、ここで技術者が最も注意すべきは「アルミはどこ産でも同じ」という思い込みです.
産地が変われば「溶湯の性格」が変わる
アルミ合金材料は、たとえ規格(ADC12など)が同じであっても、産地や精錬メーカーが異なれば、その「質」は微妙に、かつ確実に鋳造に影響します.例えば、含まれる微量な不純物元素の比率が変わることで、湯流れ性や凝固特性に影響が出ます.いつもの溶湯処理、鋳造条件を、代替材料にそのまま適用するのは危険です.
材料の切り替えは、購買だけの問題ではなく、鋳造条件の再セットアップの問題です
当社では、候補になっている複数のインゴットサンプルから鋳造に適した(不良の出にくい)ものを選定するお手伝いをしています.